微熱-関谷side-

ソファに投げ出したままの多空の男の癖に細い体を押し倒す。


まあ、こいつこーみえて腕も太いし、空手も有段者。

だけど、


「…いい加減にしろ」


俺は気が短い。


優菜は妹だ。誤解を招く口調はやめろ、と多空に冷めた感情を突きつける。



至近距離で絡む視線。多空の茶色の瞳は俺を映して、けれどすぐ逸らす。おまえは視線を合わす事が苦手なんだよな。知っててやる俺が確かに悪いが、



「…ごめん」



一瞬で透明な瞳が反省を伴う悲しそうな色に変わる。



素直に謝るこいつはどうも憎めない。


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