「春夏秋冬」
彼女は砂浜に座って夕日を見ている。
日焼けしてしまった肌を気にしているようだった。
髪の毛も、幾分焼けてしまって茶色く見える。夕日のせいかもしれない。
片づけが終わって、彼女の隣に座る。
旅館に戻るのは、いつだっていい。
今は、こうしていたかったのだった。
相変わらず、寂しそうな顔をしている彼女。
何も言葉が出てこなかったので、お互いに黙った時間だった。過ぎて行く時間を、どうにかして戻せないだろうか、と考えている。
出来ないとは分かっていても、彼女が淋しそうなら、今日という日は失敗になってしまうからだ。
そんなことを考えていると。
「楽しかったな・・・。」
「え・・・?」
「今日。楽しかった。」
「良かった・・・。」
「・・・。」
「淋しそうだから。今の澤口さん。」
「そっか・・・。」
「また、来年も来ようね。」
「うん・・・。」
彼女はようやっと立ち上がって、身体についている砂を払った。
そのしぐさが妙に色っぽくて。
殆ど人のいなくなったその砂浜で、彼は。
「え・・・?」
「・・・。」
「苦しい、よ・・・。」
「・・・。」
「もう・・・。」
「・・・。」
「だから・・・。男は狼だって・・・。」
「今だけは、狼でいさせて。」
「しょうがない人。」