「春夏秋冬」
「ねー。ノート貸して。」
「澤口さん・・・。どうしたの?」
「ノート、借りたいんだけれど。」
「いいよ。どのノート?」
「現代国語。つまんないんだよねー。黒板見てるだけで眠気が・・・。」
「しょうがないなぁ・・・。テストが近いんだから集中しないとだめだよ。」
「それはそうだけれどさぁ。あたしはもっと他の事がやりたいのよ。」
「え?」
「例えばさぁ・・・。高校でアルバイトとか。」
「・・・。」
「通過点にしか過ぎないから。遊ぶのも今のうちしかできないし。」
「ありとキリギリスの話し、知ってる?」
「はっはっは。まぁ、キリギリスは冬の寒さに耐えられなかったけれど。」
「そうだよ、だから・・・。」
「でもさ。キリギリスは不幸な死に方をしたのかな?」
「・・・え?」
「あ、予鈴鳴っちゃう。ノートありがとうね~!」