「春夏秋冬」


少年は少女の横に座った。

音をたてて弾けている火花を見ていると、なんだか落ち着いた気分になっていく。

楽しい、というよりも幸せ、と言ったほうがいいかもしれない。


少年の目の前に花火が手渡される。ろうそくには既に火がついていて。共犯となってみたのだった。

楽しい時間、が。過ぎていく。

想い出になるんだろうな。

先生に見つかって怒られたりしたら、もっといい想い出になるのかもしれない。


そんなことを考えた。そして。


「キミは、どこの高校に行くの?」

「分からない。」

「ふぅん。まぁ、まだ焦って決めなくても。」

「そうなのかな。みんな、もう決まってるみたいだし。」

「間に合えば、つじつまが合えばそれは成功なんだよ。」

「・・・。」

「えへ。完璧ならざるものだから、完璧を求めるんだ。

自分が何をしたいのか、分からなくても。その時は直感でいいと思うよ。」

「そう、なのかなぁ・・・。」

「それに、自分ひとりで抱え込んで悩んでるみたいだけれど、それはだめだよ。親とか。きちんと話せる人を作ろうね。」

「・・・うん・・・。」



< 8 / 24 >

この作品をシェア

pagetop