「春夏秋冬」
少年は少女の横に座った。
音をたてて弾けている火花を見ていると、なんだか落ち着いた気分になっていく。
楽しい、というよりも幸せ、と言ったほうがいいかもしれない。
少年の目の前に花火が手渡される。ろうそくには既に火がついていて。共犯となってみたのだった。
楽しい時間、が。過ぎていく。
想い出になるんだろうな。
先生に見つかって怒られたりしたら、もっといい想い出になるのかもしれない。
そんなことを考えた。そして。
「キミは、どこの高校に行くの?」
「分からない。」
「ふぅん。まぁ、まだ焦って決めなくても。」
「そうなのかな。みんな、もう決まってるみたいだし。」
「間に合えば、つじつまが合えばそれは成功なんだよ。」
「・・・。」
「えへ。完璧ならざるものだから、完璧を求めるんだ。
自分が何をしたいのか、分からなくても。その時は直感でいいと思うよ。」
「そう、なのかなぁ・・・。」
「それに、自分ひとりで抱え込んで悩んでるみたいだけれど、それはだめだよ。親とか。きちんと話せる人を作ろうね。」
「・・・うん・・・。」