銀鏡神話‐玉響の驟雨‐
前の方で法皇を崇めていた母さんが俺の元へとやって来た。
「? フィルリアは一緒じゃなかったのかい?」
母さんは辺りを見渡すが、もう礼拝堂内に残っているのは、俺とフィルリア、母さん、リリーにアイラ、法皇と皇女に、物好きな奴等が四人……
「彼処だよ……」
俺は歯を食いしばる思いで、法皇に向かって走る異端者を指差した。
此の時の母さんの顔は今も忘れない。
愕いて、怒って、其れで、今まで見た事も無い位に哀しい顔をしたんだ。
「フィルリアっ!!」
母さんは階段を駆け下りると、フィルリアに向かって走り出した。
・
・
・
・
・
・
「アイラ、下がっていろ。」
リリーは負傷したアイラに肩を貸すと、壁際の椅子に座らせた。
(氷の様に冷たい……)
凍てつくかの様に冷たくなったアイラの肌。
蒼い光を纏った此の短剣のせいだろう。
光が何もかもを拒絶している。
彼女は此の剣と何の術を錬成させたのだろう?
・
・
・
・
・
・
「……」
駄目だ。
このまま、俺一人が指を加えて見てる訳にはいかない。
「フィルリア!!」
・
・
・
・
・
・
「貴公は誰だ? 私に何の恨みが有る?」
法皇が聖術を使う時に用いる、聖法杖をフィルリアに向ける。
法皇の目は、お前如き何時でも聖術で殺せると語っていた。
然しフィルリアは笑った。
見せ掛けでは無い。
本気で、心から笑っているんだ。
「私は其の力を真に継承し“宿木の一族”の末裔だ!」
広い広い、礼拝堂に木霊するフィルリアの声。
物好きな奴等は興味深そうに見物していた。
俺はフィルリアの元へ向かう一瞬、一人の男と通り過ぎた。
「煌の力。 君は上手く使いこなせるかな。」
「え……」
振り返った時には誰もいなくなっていた。
煌の力(きらのちから)……?
いや、今はそんな事気にしてはいられない。
「? フィルリアは一緒じゃなかったのかい?」
母さんは辺りを見渡すが、もう礼拝堂内に残っているのは、俺とフィルリア、母さん、リリーにアイラ、法皇と皇女に、物好きな奴等が四人……
「彼処だよ……」
俺は歯を食いしばる思いで、法皇に向かって走る異端者を指差した。
此の時の母さんの顔は今も忘れない。
愕いて、怒って、其れで、今まで見た事も無い位に哀しい顔をしたんだ。
「フィルリアっ!!」
母さんは階段を駆け下りると、フィルリアに向かって走り出した。
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「アイラ、下がっていろ。」
リリーは負傷したアイラに肩を貸すと、壁際の椅子に座らせた。
(氷の様に冷たい……)
凍てつくかの様に冷たくなったアイラの肌。
蒼い光を纏った此の短剣のせいだろう。
光が何もかもを拒絶している。
彼女は此の剣と何の術を錬成させたのだろう?
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「……」
駄目だ。
このまま、俺一人が指を加えて見てる訳にはいかない。
「フィルリア!!」
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「貴公は誰だ? 私に何の恨みが有る?」
法皇が聖術を使う時に用いる、聖法杖をフィルリアに向ける。
法皇の目は、お前如き何時でも聖術で殺せると語っていた。
然しフィルリアは笑った。
見せ掛けでは無い。
本気で、心から笑っているんだ。
「私は其の力を真に継承し“宿木の一族”の末裔だ!」
広い広い、礼拝堂に木霊するフィルリアの声。
物好きな奴等は興味深そうに見物していた。
俺はフィルリアの元へ向かう一瞬、一人の男と通り過ぎた。
「煌の力。 君は上手く使いこなせるかな。」
「え……」
振り返った時には誰もいなくなっていた。
煌の力(きらのちから)……?
いや、今はそんな事気にしてはいられない。