愛詩-アイウタ-


 しかもひき笑いだから、笑い声は魔女みたい。



 普段は軽く笑っているので大丈夫なものの、本気で笑う時は本当に困る。




 深呼吸をして、息を落ち着ける。



「…はぁ」




 家に近い通り。



 歩きで帰るか…。



 そう思い、バス停まで向いた足を変える。



「変わったなぁー…」




 長く並ぶデパート。前はこんなじゃなかった。



 あまり小綺麗ではなかったけれど、街中の人が知り合いに思えた、あの感覚。



 …商店街。



 シャッター通りになってしまい、そのまま土地を渡したのだという。



 だから、この店達は好きにはなれなかった。



 でも好き嫌いと利用数は比例ではなくて、利用しているのだが。



「ん?」




 ~♪



 聞いたことのある旋律が聞こえる。街の通りで。


 聞こえる方にふと視線を向けてみると、見たことある顔だった。



「るぅっ!」




「光璃!」




 ギターを弾きながら座っている。



 見てみると、周りにもちらほら。



「るぅひとりで弾いてんの~?」



「まぁ…」



 そういうるぅは、少し照れくさそうで。
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