愛詩-アイウタ-
 不思議と、廉に対しての気持ちは浮かばなかった。



 忘れてはいけないと思う。でも、廉はひぃを好きだった。ひぃも廉を好きだった。



 もう過去だから、いいと思った。



 そう思えたのはるぅのおかげ。



「ありがと…」



 また涙が溢れてくる。



「もぅ泣くなってば」



「だってっ…」



「大丈夫。いつか廉にも会える時が来るよ」



「うん…」


 本当は言いたいことがたくさんあるけど、なんていっていいかわからなかった。ひぃはずるいと思う。


 廉に逃げて、るぅに逃げた。


 だから、いつか廉に謝るの。


 気持ちをしっかり言える日まで。


 それに、るぅにお礼をもっと言いたかった。


 抱いてくれてうれしかった。ひとつになれた瞬間、幸せだなと思えた。


 気を遣った、ひとつひとつのるぅの動作が全部好き。


 そのまま寝ていると、るぅに声をかけられる。



「光璃大丈夫?服、着れる?そろそろ時間だよ」



「本当だ…急がなきゃ」



「服着せよっか」



 るぅはニヤニヤ笑った。



「ひぃ赤ちゃんじゃないもんっ」



 それに対しての返事はない。るぅは何か考えている。


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