君と見た空。
「ここをこうやって・・・。

 ね??出来たっしょ?」

彼女はカメラをまじまじとみつめ、

写真を撮りに走っていった。


「嫌がってた割には楽しそうじゃん。」

嫌がっていたけど、やる気のあるような彼女が、

少しかわいく、そして、愛しく思えた。


「ッ・・・ゴホッゴホッ。」

彼女はいきなり咳き込んだ。

僕はベンチから勢いよく走って

茜のところに向かっていった。


「茜!!
 
 大丈夫??」


それにしても・・・

茜って風邪かな??


けど、風邪にしては、

かなり咳き込んでいる気がする・・・。


彼女のことを何も知らない僕はまだ、

茜の過去を、一つも知らずにいた――。

< 23 / 82 >

この作品をシェア

pagetop