初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
それからすぐにシンさんがオーダーしてくれた紅茶を楽しむ。
お茶請けに1口サイズのクッキーが一緒に運ばれてきた。
さくっとして控えめな甘さに、思わず紅茶が進んでしまう。
さっきのレストランでお腹いっぱいかもって思っていたけど、紅茶とクッキーの分は余裕だったみたい。
あたしが美味しそうに食べているのを見て、シンさんも満足してくれている様子。
街の景色を堪能しながら、あたしたちは他愛のない話をしていた。
あのビルのある辺りがどう、とか、このタワーがあるのはあの辺だ、なんか。
――色々と話はしているけれど、なんとなくあたしもシンさんも大事な部分は避けて会話しているような感じ。
というか……あたしが「この辺りにあるアイスが美味しい」とか「あの近くにあるショップの服が可愛い」とかを話して、シンさんがそれに「そうなんだ」って笑って聞いてくれている。
……そんな話をしていないと、なんとなく今までうっすらと感じていたことが、一気にきちゃいそうで。
本音は怖かった――のかもしれない。
レストランの予約のことや、ロビーでの出来事――
あたしの思い過ごしじゃない、って思っているけど、でも……
自惚れていたら嫌だって思っていた。
だから、あたしは懸命に関係のない他愛もない話をしていたのかもしれない。