月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 あたしも仰向けになった。ベッドは狭いけど、なんとか2人並んで寝られそう。

 光の彼は同じ部活の人だから、背が高くて体育会系なんだろうな。先輩だから「光」なんて呼び捨てなのかな。

 呼び捨て! いいな! そう妄想してたけど、光からの返事が無いことに気付く。あれ? 寝た?



「ひかる?」


 小さく呼んでみた。規則正しい寝息が聞こえてくる。寝るの早く無い? 疲れてたんだろうなぁ、今日あんなことがあったから。

 左腕の傷が心配。ちゃんと消毒したしそんなに深くもないだろうけど、傷は残るかもしれない。

「無事で、良かった……」

 心底、そう思っていたんだ。本当に。無事で良かった。なんともなくて良かった。それしかない。


 光の規則正しい寝息を聞いてるうちに、あたしも意識が薄くなってきた。



 ***

 


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