月光レプリカ -不完全な、ふたつの-




「幸田さん」

 もうすぐ教室だというところで、後ろから呼ばれた。聞き覚えのある声。

「……」



 振り向くと、マミ先輩が立っていた。

「……幸田さん、いま、ちょっといい?」

「……なんでしょうか」

 マミ先輩も中尾先輩も、生徒会に顔を出さなくなり、このまま卒業まで過ごせば顔を合わせることも無いと思っていた。居心地も悪い。



「その……園沢くん。学校辞めたって聞いて」

 もうその話題も消えかけている時期なのに、冬海が居たことさえ忘れ去られて行くような感じなのに、今頃……。


「あ……謝りたくて……あなたに」

 謝る?

「謝る? あたしにですか?」

「あたし、酷いこといっぱいして、しまって。なんて言えば良いのか」

 勝手に暴走して、勝手に謝って。

 それもこれも全部中尾先輩のためだった。マミ先輩は、悲しい人だ。


「それが、目的だったんですよね? 冬海が学校を辞めることも。謝るなら冬海にも……!」

「……」


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