月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

「幸田さんの成績だと……」

「……」

「進学だったわよね?」

 進路相談室は、エアコンが効きすぎていて、頭がボーっとする。脇の下に少し汗をかいている。

 担任の話が全く頭に入ってこない。そうだった。進路の……。


「先生、あたしまだ」

「進学って書いてあるけど」

 先生はプリントを見ながら話している。

 そのプリントはなんだっけ、あたしが記入したんだっけ? 忘れてしまった。

 全然実りのない進路相談で、「もっと考えをまとめてきなさい」と言われてあたしの番は終わった。

 放課後だったし、梓と美由樹はもう別日に終わっているので、今日は先に帰っている。また1人で帰るのか。

 あたしは最近、なるべく1人にならないようにしていた。学校、帰り道。1人で居ると、気持ちが沈んでしまうから。他愛もないおしゃべりをしているだけでも、気持ちが晴れるというか。


 教室に戻り、荷物を取って帰ろう。

 放課後でもあちこちにまだ生徒が居て、部活やら勉強やらしているようだった。

 廊下で生徒とすれ違う。そのみんなが、自分よりも幸せで楽しそうに見えてしまう。

 そんな風に思うなんてあたし、どうかしている。



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