月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 結局、荷物になるようなお土産は避けて、あたしは絵はがきとタオルハンカチを買った。入道崎でもお土産は買えるみたいだし。

 切符を買い、男鹿線へ乗車する。
 古い質感の白に、緑のライン。シンプルな車両にあたし達は乗り込んだ。

 ワンマンカーというものに初めて乗ったから戸惑ったけど、冬海は男鹿線も乗ったことがあるそうで、指示通りにしてトラブル無く乗れた。
 下車する駅までは、1時間もかからない。男鹿駅で降りるんだ。脳内で繰り返して、降り忘れないようにしなくちゃ。冬海が一緒だけど、あたしもしっかりしないと。

 乗客は半分くらい。立ってる人も座ってる人も居た。ちょうど空いている席があったから、2人で並んで座る。

「なんか食べるの買ってくれば良かったよね」

「そうだなー。あっち着いたら食べられる場所あったと思うけど」

 入道先は観光地だから、食事する場所もある。到着する頃はお昼をだいぶ過ぎるだろうけど。
 電車を降りたらまたバスに乗って、そして入道崎。楽しみだなぁ。
 規則正しい電車の音は、とても眠りを誘うもの。また眠たくなってきてしまった。

「おばあちゃんと、こうして出かけた?」

 移動中、眠ってばかりじゃつまらない。楽しくてテンションは高いのに、眠気は襲ってくるから不思議。2人でぐっすり眠ってしまったら降りる駅を過ぎてしまいそうだ。

「小さい時はね」

 他の乗客への邪魔にならないくらいの声。電車の音で聞こえなくなりそうだったから、少し冬海に寄って座り直した。

 窓から見える田畑。静かな風景だ。この車窓から見える景色は、冬海が幼い頃に見ていた景色なんだな。おばあさんと、幼い冬海がこうして2人で座って、外を見ていたのかもしれない。

< 380 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop