月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「晃。お父さんもこの前、聞いてたけど、進学なの?」

 お母さんが、2階へ上がる光の背中を見終わってから、聞いてきた。

 凄く先の事でもないし、だからって緊急の事じゃないけど、お父さんが留守がちな分、お母さんはあたし達2人の事を凄く気にかけている。それは分かる。

「うん。大学行くよ、勉強したいし」

 将来、何になりたいとかはぼんやりしているけど、あたしはまだ自分の為に色々やりたい。バイトしたり、本を読んだり、人と出逢ったり。

 いろんな世界を見てみたい。

「そっか。あんまり無理だけはしないように」

「うん、大丈夫」

 お父さんもお母さんも、勉強してると「無理するな」って言う。

別に無理をしてるわけじゃないけど、まぁ、勉強しろしろばっかり言う親より良いとは思う。


 大丈夫。何の根拠も無いけれど、あたしは進路の事を考える時、自分の先に広がる未来にワクワクしていたんだ。


 大丈夫、そう思っていた。
 何でも頑張ればやって行けると。乗り越えて行けると。



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