ダブルベッド
かける言葉はどこにも見つからない。
大変だったね。
悲しい事故だったんだね。
思い浮かぶのはどれも薄っぺらくて使い物にならない。
充はただ立ち尽くしているだけだった。
運転に異常にうるさい理由。
そして時たま見せる悲しい笑顔の理由。
それらは全て、この墓石にあったのか……。
納得してみても、心のモヤモヤは残ったまま。
だけど、桃香を思う気持ちは恋のまま。
桃香の視線の先にある入道雲を眺めてみると、ゆっくりゆっくりこちらに動いていた。
「池田さん」