ダブルベッド

「池田さん」

「なに?」

 桃香が充を見つめ、二回ほど瞬きをした。

 吸い込まれそうな目を見つめ返し、スッを手を伸ばす。

 桃香は一瞬警戒するように顔をこわばらせた。

 充の手は桃香の頬にたどり着き、親指でそっと頬を撫でた。

「ちょ、ね、なに?」

 桃香の頬はぷっくりと弾力があって、手入れされている肌は実に滑らか。

 その感触に、充は「女はいいなぁ」とあやうく口を滑らせるところだった。

「いや、まつ毛がついてて」

「そっか、ありがと」

 充は素直に手を引いた。

 体を強張らせた桃香に、その気がないとわかったからだ。

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