ダブルベッド
「どこ行けばいいっすかねぇ。マジデートなんて久々なんで、思い付かないっす」
女の影すら見せない沢田にこういうことを相談するのは、少し嫌味だっただろうか。
沢田はタバコをもみ消しながら、
「マジデートねぇ」
と呟いた。
吐いた煙がダルそうに換気扇に吸われていく。
充だって年頃の男である。
女との交友がないわけではない。
合コンなんかで知り合って、デートできるくらいの女は何人かいるのだ。
しかし正式に付き合わずに「良い関係」を貫いているのは、充のいい加減なところでもあり、要領のいいところでもある。
それは沢田も承知のこと。
マジデートと表現したのは、桃香とのデートは本気であるというアピールだ。
「そういや沢田さんて、彼女は?」