ダブルベッド
「佐和子さんだって吸ってたくせに」
という沢田のツッコミは、
「昔のことは忘れたの」
サラリと流されてしまった。
「でもタバコは体に悪いですよ」
カップにコーヒーを入れながら、真琴が笑った。
真琴は新入社員でありながら充や沢田よりも年上で、更には一児の母である。
女は強い、ということを証明するようなこの二人。
仕事もできるから、充にとっては頭の上がらない存在である。
充はまだ吸い足りないタバコの火を消さずにはいられなかった。
給湯室から出ると、美人席に桃香の姿を見つけた。
桃香はこちらを向き、ニコッと微笑んだ。
「おはようございます」