キスフレンド【完】
「これって理子と紫苑君の問題だし、あたしが口出しすることじゃないって分かってるんだけど……」
「うん」
「理子、紫苑君と出会ってからすごく明るくなったの。毎日楽しそうだし、笑顔も増えた。だから、紫苑君が理子のこと大切に想ってるなら、ちゃんと向き合ってあげて」
「分かった」
「……突然呼び出してごめん!じゃあね!!」
ナナちゃんは俺の返事を聞くとクルりと背中を向けて駆けだした。
ナナちゃんは俺に警告しに来たんだ。
『姫を傷付けるな』と。
姫は幸せ者だ。
あんなにも想ってくれる友達がいて。
俺は大きく背伸びすると教室に戻った。