キスフレンド【完】
【番外編 紫苑side】


「……んっ……」


ぐっすりと眠っている理子。


その顔にかかる髪を手で退かすと、理子は甘い声でうなる。


朝から少しイジメすぎたかもしれない。


だけど、どうしても理性が利かなかった。


「理子、ごめん」


俺はいつから自分の感情をコントロールできなくなってしまったんだろう。



昨日。


大学まで理子を迎えに行った時も、俺は自分の感情を抑えきれずに理子にイライラをぶつけた。


『アイツ、絶対理子のこと狙ってる』


同じ講義を専攻しているという男と楽しそうに歩く理子を見ると、どうしようもなくムカついて。


ただの男友達だと頭ではわかってる。


『あたしが好きなのは紫苑だけだよ?』


理子はいつだってそう言ってくれる。


だけど、たまにどうしようもなく不安になる時がある。


いつか、理子が自分よりももっと良い男を見つけてしまう気がしてたまらない気持ちになる。
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