キスフレンド【完】
【紫苑side】


深夜2時。


「あ~、マジ疲れた。やっぱりこのバイトキツイわ~」


事務所の中にあるギシギシとうるさいパイプ椅子に座りながら、海人が大きく伸びをする。


「だね」


手元のホットコーヒーを口に含むと、冷え切ってしまっていた体がじんわりと温かくなった。


交通誘導整備員のバイトを始めて2週間。


工事現場の近くの道路に立ち、車の誘導をする。


日給10000円でしかも短期のバイト。


俺はすぐさま求人雑誌に載っていた会社に連絡をした。



『日給10000円!?俺もやりたいんだけど!!』


新しいバイトを始めたことを話すと、自分もやりたいと言い出した海斗。


『寒いし、ずっと同じ場所に立ってんの案外キツイから。急に眠くなったりもするし』


そんな俺の忠告を無視していた海斗も、ようやくこの仕事の大変さに気付いたようだ。


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