キスフレンド【完】
「紫苑君、遅いよ~!!」
両手を擦り合わせていた美波さん。
俺に気付くなり、美波さんは唇を尖らせた。
待ち合わせ場所はいつも、二階建ての事務所の裏手にあるプレハブ小屋の横。
どうしてこの場所を選んだのか分からない。
ただ、この場所は事務所の窓からよく見える場所だった。
今まで何度も呼び出されている。
だから、場所を指定されなくても呼び出されたらこの場所にやってくるようにしている。
「……すみません」
「も~、すっごい寒かったんだから~!!」
「それなら、これからは事務所で話しません?あそこなら暖かいし、美波さんを待たせることもないから」
「事務所じゃ他の人がいるじゃない」
「いたっていいじゃないですか。別にやましいことがあるわけじゃないんだし」
ニコッと笑って答えると、美波さんは少しだけムッとした表情で俺を見つめた。
「紫苑君って意地悪だよね。あたしの気持ち知ってるくせに」
美波さんがもうすぐ30歳だと知ったのはつい最近こと。
オシャレに気をつかっている美波さんは綺麗だし、20代前半だといわれても全然驚かない。
理子と出会う前なら、間違いなく美波さんを抱いていただろう。
だけど、今は違う。
両手を擦り合わせていた美波さん。
俺に気付くなり、美波さんは唇を尖らせた。
待ち合わせ場所はいつも、二階建ての事務所の裏手にあるプレハブ小屋の横。
どうしてこの場所を選んだのか分からない。
ただ、この場所は事務所の窓からよく見える場所だった。
今まで何度も呼び出されている。
だから、場所を指定されなくても呼び出されたらこの場所にやってくるようにしている。
「……すみません」
「も~、すっごい寒かったんだから~!!」
「それなら、これからは事務所で話しません?あそこなら暖かいし、美波さんを待たせることもないから」
「事務所じゃ他の人がいるじゃない」
「いたっていいじゃないですか。別にやましいことがあるわけじゃないんだし」
ニコッと笑って答えると、美波さんは少しだけムッとした表情で俺を見つめた。
「紫苑君って意地悪だよね。あたしの気持ち知ってるくせに」
美波さんがもうすぐ30歳だと知ったのはつい最近こと。
オシャレに気をつかっている美波さんは綺麗だし、20代前半だといわれても全然驚かない。
理子と出会う前なら、間違いなく美波さんを抱いていただろう。
だけど、今は違う。