キスフレンド【完】
【理子side】


日曜日の昼下がり。


「二人で出かけるのって久しぶりじゃない?」


「そうだね」


あたしと紫苑は久しぶりに街に繰り出した。


最近できた美味しいと噂のパスタ屋さんでお昼を食べて、ブラブラとウインドウショッピングを楽しむ。


そういえば、紫苑とした初めてのデートもこんな感じだったな……。


どこへ行くでもなく、今みたいにふらふらと寄り添って歩いた。


あの時はまだキスフレンドだったけど、今は違う。


ちゃんと紫苑の特別になれたんだ……。


そう考えると胸の中がじんわりと温かくなる。


だけど、今もまだほんの少しだけ怖くなるんだ。


紫苑がまた、あたしに黙ってどこか遠くへ行ってしまうような気がして……。


紫苑と一緒にいればいるほど、好きの気持ちは積もっていく。


だけど、それと同じくらい不安も大きくなっていくんだ。

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