キスフレンド【完】
「……そうですけど……」


「あらそう。美男美女でお似合いね~」


ニコッと笑いながらそういう女性。


でも、目の奥は笑っていない気がして。


この人……紫苑とどういう関係なの……?


困って紫苑に視線を向けると、紫苑は柔らかい笑みを浮かべながら女性の手を自分の腕から解いた。


「美波さんはバイト先の社員さんなんだ」


「バイト先の社員さん?」


「そう」


「じゃあ、家庭教師の……――」


紫苑は週2回、家庭教師のバイトをしている。


「あのさ、理子……――」


なぜか慌ててあたしの言葉をさえぎった紫苑。


すると、あたしたちの様子を眺めていた美波さんが口を開いた。

< 277 / 363 >

この作品をシェア

pagetop