求愛
「ちょっと、その話もっと詳しく教えないさよ！」


「あー、もう乃愛んち着くし、残念でしたぁー。」


「うわっ、リサ卑怯！」


ぎゃあぎゃあと騒ぐ彼女に笑ってしまう。


それからすぐに車は、乃愛の家のマンションの前に到着した。


ドアが開き、降車する間際、



「ねぇ、リサ。」


彼女は改まった顔で聞いてくる。



「それってマジ恋？」


「まぁね。
何か大切にしてくれるし、あたしもそれに応えたいっていうか。」


少しはにかむように言ったあたしに乃愛は、優しい顔で笑ってくれた。



「安心したよ、それ聞いてあたしまで嬉しくなった。」


「ありがと。」


「まぁ、今度イチから全部聞き出しますけどね。」


なんて言い、乃愛はタクシーを降りて、こちらに向かって手を振った。


ドアが閉まり、また車は走り出す。


急に静かになった車内で、あたしは息を吐いて窓の外へと視線を投げた。



「どこ行けば良いですか？」


千田さんの問いに、



「あ、いつもアパートで。」


と、答え、手探りにバッグを漁って煙草を取る。


帰ればタカと道明さんが待ってるし、なんて思うと、考えるだけで頬が緩んでしまうのだけど。

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