狼彼女のお気に入り



「…あれ」



俺が着いた時、屋上に篠田はいなかった。



さっきまでいたのに…



おかしいな。




フェンスの向こう側の校庭を眺めてみても、篠田の姿は確認出来ない。



「どこ行ったんだよ…」



俺はフェンスに寄りかかって座った。



午後は全校ダンスがある。



生徒会主催ということもあってか、あまりゆっくりはしていられない。



つうか昼飯…



下に置きっぱなしだ。



さすがに昼抜きっていうのはな…



それに、10分前に集まりがある。



携帯の画面で時間を確認すると、残り10分を切っていた。



……仕方ない、か。



俺はしぶしぶ立ち上がって、屋上を後にした。









< 57 / 77 >

この作品をシェア

pagetop