狼彼女のお気に入り
「…あれ」
俺が着いた時、屋上に篠田はいなかった。
さっきまでいたのに…
おかしいな。
フェンスの向こう側の校庭を眺めてみても、篠田の姿は確認出来ない。
「どこ行ったんだよ…」
俺はフェンスに寄りかかって座った。
午後は全校ダンスがある。
生徒会主催ということもあってか、あまりゆっくりはしていられない。
つうか昼飯…
下に置きっぱなしだ。
さすがに昼抜きっていうのはな…
それに、10分前に集まりがある。
携帯の画面で時間を確認すると、残り10分を切っていた。
……仕方ない、か。
俺はしぶしぶ立ち上がって、屋上を後にした。