好きだから。 *短編*
たった今、
“どこのラーメンがうまいか”
というかなりどうでもいい話で盛り上がったところで、いったん落ち着いた。
少しの沈黙のあと、拓也さんが口を開く。
「…で、どーなの?」
「何がですか!?」
「宏樹と。」
「え!?…聞きます?普通。」
少し笑いまじりに言っては見たものの、動揺してしまう。
「何かあったのか?」
「…いや、何もないです!てか最近全然会ってないですし!もう12月になるし、美咲ちゃんにクリスマスプレゼントあげるのにバイトとか頑張ってるんじゃないですかね?」
そう言いきったとき、少し離れたところに宏樹がいるのを見つけた。
うわ、何てタイミング…。
さらに、そこにいる宏樹に聞こえるかのように拓也さんが私に言った。
「俺は、やっぱりハルのこと好きだよ。
…俺と、付き合ってください。」
──宏樹も見てる。
「た…、拓也さん…。あのっ、明日!明日必ず返事します!」
走ってその場を立ち去る私。
走りながら涙が止まらない。
最低だ私。
拓也さんを好きになればすべてうまくいくなんて。
宏樹に会えば全部そんな思いも壊される。
人のこと好きになる資格ない。
そんな泣きまくった私のところに来てくれたのは優香だった。