好きだから。 *短編*
「大丈夫?ハル…。」
「だめだよ、もう。拓也さんにもすごく失礼なことした。宏樹がいるからって、私逃げたんだもん。」
泣く資格なんてないのに、涙があふれてくる。
そんな私に優香はゆっくり話してくれる。
「…ハル。宏樹には彼女がいるけど、別に自然に忘れられる日がくるまで…好きでいていいんじゃないかな。
それに拓也さんのこと、無理に好きになるなんて、それこそ拓也さんに失礼でしょ?」
「え…?」
「まだ、宏樹のこと好きなんでしょ?泣くくらい、好きなんでしょ?」
泣きながら私は首をたてに振る。
どこが好きなのか、
何がきっかけなのか、
何にも分からないけど、
私は、宏樹が好きで。
彼女がいたけど、今までもそんな宏樹を見てきたし…
「優香、私宏樹のことやっぱり好きだよ…。拓也さんにもちゃんと、言う。」
泣き腫らした目を冷やしながら私は決意した。