好きだから。 *短編*


次の日、拓也さんに昨日と同じくらいの時間に中庭に来てもらった。



「ごめんなさい。」


「…うん。」


「私、やっぱり…」


「宏樹が、好きなんだろ?」

「はい…。」


「まぁ…、俺がハルが笑ってたり、元気だなーって思って見てたのは、ハルが宏樹と一緒にいるときだった。

バーベキューのときも昨日も、宏樹の前で告ったりしてごめんな。

俺はハルが好きなんだって、宏樹に分からせたかった。

ガキみてーなことしてごめんな。

ちょっと嫌がらせっぽかったよな」


「いや、そんなことは…」


「ない?」


「ん…少し。」


「正直だなーおい!」


そう言って私のほっぺたを引っ張る拓也さん。


その顔は笑顔だった。


「じゃあ、俺今日はみんなに失恋パーティーしてもらってくるわ!」


笑いまじりに私に告げてから背を向け歩いて行く拓也さんの背中に私は精一杯叫んだ。


「拓也さん!…私みたいなやつ…好きになってくれてありがとうございました!」


「私みたいなじゃなくて、ハルだから好きになったんだよ!」


振り返ってそう言って笑って手をふってくれた拓也さんを見送ったあと、私は久しぶりにあの部屋に向かう。


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