俺様彼氏と空手彼女2
「葵…っ!もういいから、止めてよ!」
ぎゅっ、と後ろから腕に抱きついて芦野くんから引き離す。
このままだと、本当に芦野くんに怪我をさせてしまいそうで
私は、見てられなかった。
「…璃依、なんでだ。」
冷たい葵の声が、私に降りかかった。
怯みそうになる心を、励まし声を絞り出す。
「葵が、そんなことするとこ、見たくないよ…っ」
「…っ」
ようやく、葵の身体からは力が抜け、にじみ出ていた殺気は影を潜めた。
そのことにホッとし、私も葵から離れる。
「…は、ははっ。なんだよ、出来ないのか。口だけかよ」
身体が解放され、自由になった芦野くんはくつくつと喉の奥を鳴らして笑った。
「お前はやっぱり甘いよな、昔から」
芦野くんのその言葉に、ぐっと葵の手に力が込められた。
「何が合気道だ、寝技だ。そんなもの、使わなきゃ意味ないだろ。所詮、お前はその程度の…」