俺様彼氏と空手彼女2
「俺の居場所は、こいつのせいで無くなったんだっ!父親に、認めて欲しかっただけなんだよ俺は!だからこいつに近づいて、弱点を探そうと思ったんだよ!それの何が悪い!!」
「…あまったれてんじゃねーよ!」
気がついたら私は、きつい口調で芦野くんを睨み付けていた。
確かに、この人は色々抱え込んでいて辛かったのかもしれない。
だけど今は、このアマチャンがどうしようもなく腹立たしい!
「葵はな、正々堂々努力して上手くなったんだよ!
決してズルしたわけでも、卑怯な手を使ったんでもない!
お前みたいなやつが、努力した者をバカにするもんじゃねーよ!
取り返したかったら努力すれば良かったんじゃないの!?」
私の言葉に、芦野くんはぐっと押し黙った。
やがて、何も答えずにうつむく。
更に文句を言おうとしたが、優しい、スッキリしたような顔の葵に止められ、私たちはそこをあとにした。