俺様彼氏と空手彼女2
「…璃依、ありがとな。」
「えっ、何が?」
葵が突然そんなことを言い、聞き返しながら隣を歩く葵を見上げた。
そうすると、優しい目で私を見つめ柔らかく微笑んだ。
「俺のこと、かばってくれたじゃん。すっげー嬉しかった。ありがとな」
「別に、私がムカついただけで…。」
「そか。」
モゴモゴと口ごもり、そっぽを向いた私の頭に、ふわりと大きくて安心する手が乗せられ、クシャクシャと撫でられた。
こうされると、いつもすごく安心する。
ああ、こんな近くに葵がいるんだって、そう実感できる気がして。
「…しかし、まさか平手打ちじゃなくてグーで殴るとは予想外だった。」
「えっう、あ…あれは!その、勢いあまってというか、なんか…」
「へぇ?」
「…っそんなことより!葵は風邪大丈夫なの!?」
今まですっかり忘れていたが、葵はつい昨日、高熱でぶっ倒れたのである。