俺様彼氏と空手彼女2




「だから、大丈夫っつったろ。もう下がったし。」




「嘘!」




どうせいつもの強がりに違いない。




触ってみれば、きっとものすごく熱いんだ。





そう思い、背伸びして葵のおでこに触れる。





「…あれ?」





「な?」





私の手のひらに伝わる体温は、心地よい程度のものだった。




本当に熱はないらしい。





「うっそ、でしょ…?だって昨日あんなに…」





「おいこら、俺様を誰だと思ってんだよ。この俺がたかが風邪のウイルスに負けると本気で思ったのか?」





ニヤリ、とここでまた強気な笑顔を張り付け私に微笑みかける。





ああ、どうやらこいつに勝てる奴はどこにもいないようです…。





「ほら、来いよ璃依。」





当然のように、すっと差し出された左手を、私はきゅっと握った。






< 105 / 109 >

この作品をシェア

pagetop