俺様彼氏と空手彼女2
「だから、大丈夫っつったろ。もう下がったし。」
「嘘!」
どうせいつもの強がりに違いない。
触ってみれば、きっとものすごく熱いんだ。
そう思い、背伸びして葵のおでこに触れる。
「…あれ?」
「な?」
私の手のひらに伝わる体温は、心地よい程度のものだった。
本当に熱はないらしい。
「うっそ、でしょ…?だって昨日あんなに…」
「おいこら、俺様を誰だと思ってんだよ。この俺がたかが風邪のウイルスに負けると本気で思ったのか?」
ニヤリ、とここでまた強気な笑顔を張り付け私に微笑みかける。
ああ、どうやらこいつに勝てる奴はどこにもいないようです…。
「ほら、来いよ璃依。」
当然のように、すっと差し出された左手を、私はきゅっと握った。