俺様彼氏と空手彼女2
生徒会室まではそんなに遠くなかったはずだし、今なら間に合うよね?
三階の突き当たりに生徒会室はあった。
なんだか入りにくい…。
職員室より緊張するかも…。
でも、忘れてしまった私が悪い。
意を決して、軽くノックして戸を開ける。
「失礼しまー…す?」
あれ?葵も誰もいない。
生徒会室って瑞代さん言ってたよね?
とりあえず、机の上に置いとけば葵見つけるよね?
そして帰ろうかと踵を返した時だった。
「―――……センパイ」
「!」
かすかに聞こえた声に、私の体は素早く反応した。
今のって、瑞代さんの声…だよね?
先程まで話していたのだから間違いはないはず。
「―――…す」
え?何…?
誰かと…話してる。
声のするほうを辿ると、どうやら隣の空き教室かららしい。
もしかしたら、隣の部屋で作業してるのかも。
私が、生徒会室と繋がったその部屋の引き戸に手を掛けたときだった。
「…好きなんです、先輩が」