陰陽(教)師
鈴子はすでに「でも」も言えなくなるほどのパニック状態であった。

「妖怪への対処をするだけだ。固くなるな」

晴明にそう諭された鈴子は、一呼吸おいてから

「わかった」

と言ってうなずき、やがて覚悟を決めたようにこう言った。

「あたし、お風呂入り直してくる!」

「待て」

晴明は風呂場に向かおうとした鈴子のジャージの襟をつかんだ。

「俺がくる前に風呂に入ったらしいが、なぜ今このタイミングで入り直す」

「え、だって…」

鈴子は己の身体を抱きしめた。

「やる事は他にある」

晴明は時計を見た。

「9時か。木下が寝るまで2時間はあるな。それだけあれば充分か」

「な、何するの先生」

再び己の身体を(頬を赤らめながら)抱いた鈴子に、晴明は

「プリントはどこだ」

と告げた。

「プリント?」

「五島たちが持ってきたプリントだ。他の先生たちからも課題を預かってる。今から休んでた分の補習やるぞ」

「えー…」

鈴子の頭からは、完全にパニックが消え去っていた。

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