陰陽(教)師
このままでは貴族の命が危ないと考えたその陰陽師は、貴族の家を訪れ、身固めを行う。

それは呪文を唱えながら、貴族を一晩中抱き続けるというものだった。

「ひ、一晩中抱くぅ!?」

「それが身固めだ」

結果、その貴族は命を救われたという。

「ちなみにその陰陽師というのが、あの安倍晴明だ」

「先生のこと?」

「俺は晴明(はるあき)だ」

「でも」

「晴明が活動していたのは平安時代だぞ」

「でもでも、安倍晴明はすごい陰陽師だったんでしょう」

「そうだな」

「だったら不老不死でもおかしくないじゃん」

「確かに陰陽道は道教の思想も取り入れているが、それとこれとは別だ」

まぁいいと、晴明は手を振って言葉を打ち切った。

「ここで道教と陰陽道について講釈しても仕方ない。まずは身固めが優先だ」

「う、うん…」

一応返事をした鈴子だが、その場でもじもじとするばかり。

「…木下の言いたいことはわかる。でも木下の不調の原因がわからない以上、取るべき方法は身固めしかない」

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