陰陽(教)師
晴明も、教師と生徒、男と女という関係は頭にあるようだった。

「魔法円を使えば、木下に触れずに済むかもしれないがな」

晴明は人さし指で空中に円を描いた。

その仕草と言葉に、鈴子は驚きの声をあげた。

「先生、魔法円のこと知ってるの?」

「好奇心の範囲だけどな」

魔法円とは西洋魔術で使われる、円を基調とした図形のことだ。

西洋では古来より円には神聖なパワーがあると考えられており、その思想が魔法円に発展した。

魔術師は魔法円の中央に本人や第3者を置き、邪悪な存在から守ったと言われている。

「だが魔法円を描くには9フィート…つまり2.7メートル以上の広さが必要だ。だがこの部屋はそんなに広くない」

それに、と晴明は付け加える。

「魔法円はチョークや石灰で描かなければならない。この部屋でそれは使えないよな」

「当たり前だってば」

「だったら身固めだ」

晴明は、鈴子に向かって手をさし出した。

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