陰陽(教)師
「先生、このルーン呪文って…」

「よい朝を迎える再生のルーンに、俺流のアレンジを加えた。穏やかな夜のルーンというところかな」

そう言うと晴明は呪文を、いや陰陽師的には呪を再開した。

【夜の樹皮の下 そこで眠り 汝はすべてを取り戻す 夜の外套に包まれ さあ眠るがいい 夜の使者よ そこにかしづき 星の毛布をかけよ】

呪を唱え終えた時、鈴子はすでに穏やかな寝息をたてていた。

鈴子の寝顔を見た晴明は、つかの間、優しげな微笑みを浮かべると、すぐに表情を引き締めた。

【東に青龍 西に白虎 南に朱雀 北に玄武…】

新たな呪を唱えはじめる。

本格的な身固めがはじまったようだった。



―――――――――


鈴子は夢をみていた。

夢と気づいたのは、自分が晴明に料理をふるまっていたからである。

ふるまったのはフランス料理フルコースに中華の満漢全席。

あ、これムリ。

絶対夢だわこれと思い、むなしくなったが、夢なら夢で楽しもうと開き直った。

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