陰陽(教)師
「先生、おいしい?」

エプロン姿で晴明の前に頬杖をつく。

「おいしいよ、リン」

テーブルついた夢の中の晴明は、そう言って笑った。

「先生、いまリンって言った!?」

テーブルに飛び乗る勢いで、鈴子は身を乗り出した。

夢でもうれしいと思った。

「先生、もう一回リンって呼んで!」

「いいよ、リン」

「もう一回!」

「リン」

「もう一丁!」

「リン」

「アンコール!」

「リン」

何度か呼ばれるうちに、不意に目が覚めた。

「んぁ…?」

晴明の腕の中にいる状況は変わっていない。

「木下、あれを見ろ」

晴明の声に促され、そこに目をやれば。

「先生、なにアレ?」

視線の先には白い物体が浮かんでいた。

全長は30センチほど。

2本の脚を持ち、龍のような頭を持っている。

だが牙や鱗はなく、ふわふわと所在なさげに漂う姿に、龍のもつ威厳はなかった。

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