陰陽(教)師
「あれは【白うねり】だな」

晴明は浮かぶ生き物をそう呼んだ。

「白うねり?」

鈴子は初めて聞く名前だった。

「身固め開始から1時間ほどで現れた。悪臭とあの姿、間違いない。あいつは白うねりだ」

「どういう奴なの」

「家屋に現れる【家怪】の代表的な奴だな。人の姿を見つけると、己の身体を巻きつけ、悪臭で人を病気にさせる」

「悪臭って、あたしはぜんぜん臭わないんだけど?」

「木下は俺が身固めをしているからな」

「ふーん…って、それじゃ先生マズいじゃん!あたしみたいに具合悪くなっちゃうよ!」

鈴子はあわてて晴明の方を向いた。

「あたしはいいから、先生は自分の身を守って!」

「落ち着け」

晴明は鈴子を声で制した。

「俺は土御門家の守り印を身につけているから大丈夫だ。それよりも、白うねりを捕まえないとな」

「捕まえるの?」

「殺すばかりが陰陽師じゃない。だが少し問題がある」

「問題?」

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