陰陽(教)師
「昨今じゃパワースポットなんて言葉があるが、霊的な力が強い場所は確かに存在する」

バスから降りた晴明は、後からついてくる嵩史と鈴子にそう話しかけた。

時刻は午後6時。

辺りは夕闇というより、夜の闇の方が強くなっている。

晴明は二人に行き先を告げずに、バスに乗り込んだ。

だが、二人はバスの中で行き先を話題にはしなかった。

嵩史は下手に詮索したら怖じ気ついたと思われるような気がしていたし、鈴子は鈴子で、晴明のことを信用し切っていた。

だから晴明が唐突に口を開いても、何も言わなかった。

「有名な場所を挙げるなら、その昔、都があった奈良・京都、神の集まる出雲、関東だったら鎌倉…」

「東京は?」

鈴子が言った。

「確かにあそこはカオスなとこだな」

晴明は苦笑いした。

「霊的な力が強いゆえに、様々な物が集まる。人や物、妖怪なんかもな」

晴明は言葉を続けた。

「ここ杉沢市もそんな場所のひとつだ」

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