陰陽(教)師
両目が極端に離れ、裂けた口から赤い舌をのぞかせる男の異様な容姿に、嵩史は思わず身構えた。

「待て」

晴明は嵩史を制した。

「彼は妖怪だが、今回の協力者だ」

「協力者?」

「入院中の二人は家の中で気を失ってたって言ったよな」

嵩史はうなずいた。

「その二人を発見して通報したのは彼だ」

つまり敵ではない。

晴明はそう言っているのであった。

「このような姿ゆえ、表だっての協力は控えさせて頂きましたが…」

男は禿げ上がった頭を撫でながら言った。

妖怪にもそれぞれのスタンスというものがある。

嵩史のように妖怪として人間社会に溶け込んでいる者もいれば、そうでない者もいる。

つまり人間に敵意は無いが、人間とは距離を置いて生きる者もいる。

この男もそんな妖怪らしかった。

「家主は今日もいるのか?」

「はい」

晴明の言葉に、男はうなずいた。

赤い舌を出したまま、器用に喋る男であった。

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