陰陽(教)師
「今夜はいつもよりおぞましい妖気が家の中で渦巻いております。恐らくは貴方がたの気配を察してのことかと」

日は完全に落ち、あたりには夜の冷気が満ちて来たが、禿げ上がった男の頭には大粒の汗が浮かんでいる。

固い口調から察するに、緊張の脂汗だろう。

「わかった」

晴明はうなずいた。

「もし三人とも戻らなかったら、杉沢東高の矢尾先生に連絡してくれ」

「承知いたしました」

男はうやうやしく頭を下げた。

それと同時に、その姿はかき消したように見えなくなった。

「先生、なんなんだよ、アイツは」

嵩史は異形の男が気になるようであった。

「そのうちわかる」

晴明は答えなかった。

「まずはこっちを優先しないとな」

晴明は玄関の戸に手をかけた。

それは音をたてて簡単に開いた。

「先生、カギはかかってないの?」

鈴子が怪訝そうな顔をして言った。

「管理会社の話では、鍵はいつもかけているそうだ」

晴明は淡々と言った。
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