陰陽(教)師
「だが、人がここを訪れると、鍵は自然に開くそうだ」

まるで誰かが開けたように。

獲物をおびき寄せるかのように。

「家の中から、すげぇ妖気を感じるぜ」

嵩史が言った。

その顔は猫の顔になっていた。

ぴくぴくと、ヒゲが動いている。

どうやらヒゲがセンサーの役割を果たしているらしい。

「化けて出るっていう婆さんの妖気かな」

「行くぞ」

晴明は二人を促した。

「ちょっと待って」

鈴子が目を閉じて、小さく何かを唱えた。

次の瞬間、指先ほどの小さな光球が現れ、あたりを照らした。

「これなら歩きやすいでしょ」

「こいつは精霊か?」

光球を見ながら、晴明は言った。

「ウィル・オー・ウィスプの仲間だよ」

鈴子は微笑んだ。

「てことは、さっき唱えたのは精霊語か」

「そうだよ。ママが教えてくれたんだ」

「今の時代に、精霊語を伝える人間がいるとは思わなかった」

晴明は感心したように言った。

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