陰陽(教)師
「ママから聞いたんだけど、うちの先祖には精霊と結婚した人がいたんだって」

「そいつはすごいな」

「1200年ぐらい前の先祖らしいけどね」

「いずれにしろ、木下も人間以外の血を受け継いでるわけか」

「リンでいいって言ってるじゃん」

鈴子は頬を膨らませた。

「先生だって、人間以外の血ィひいてるだろ?」

嵩史が言った。

「安倍晴明(あべのせいめい)の母親は狐だって聞いたことあるぜ」

嵩史の言う通りであった。

浄瑠璃や仮名草子では、安倍晴明の母親は狐であると伝えている。

晴明の父・保名が悪人の手から狐を助けたところ、その狐は女に化して、保名の妻となった。

その二人から生まれた晴明は母親から霊力を与えられ、陰陽師となったという。

稀代の陰陽師・安倍晴明にまつわる伝説のひとつである。

「だから何度も言ってるだろ。俺は安倍晴明(あべのせいめい)じゃなくて、安倍晴明(あべはるあき)だ」

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