陰陽(教)師
しかし天井付近は闇に閉ざされよく見えない。

鈴子がまた何か唱えた。

すると光球が天井に向かって飛んでいった。

次の瞬間、天井から逆さまにぶら下がる和服姿の老婆が照らし出された。

『ひもじい…』

老婆は髪を振り乱しながら、ぎらぎらとした目でこちらを見た。

「ひっ!」

鈴子が両手で口を押さえた。

「な、なんだてめぇは!?」

嵩史が老婆に向かって牙をむき出しにする。

しかし、いきり立つ嵩史を晴明は制した。

晴明はそのまま一歩踏み出すと、目を閉じ、両手を合わせた。

親指と人差し指を立て、残りの指はすべて組み合わせる。

『ひもじい…』

天井の老婆が舌なめずりをした。

『おぬしらを喰わせろ』

くわ、と老婆が口を開けたその時、晴明が何かをつぶやいた。

「ひふみよ いむなや こともちろらね」

つぶやきは、そう聞こえた。

静かな詠唱であった。

晴明はさらに続けた。

「しきる ゆゐつわぬ そをたはくめか」

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