陰陽(教)師
すると老婆の様子に変化が生じた。

口もとを大きく歪めて、喉をかきむしり出したのだ。

ぐおお、と絞り出すようなうめき声が部屋中に響く。

老婆は明らかに苦しんでいた。

血走った老婆の目はぐるぐると回り、口の端からこぼれたよだれが、老婆の顔にしたたる。

その凄惨な様子に、鈴子は思わず顔をそむけた。

「うおゑに さりへて のます あせえほれけ」

晴明の詠唱が止んだのと、老婆が絶叫したのは同時だった。

老婆は天井を蹴って、晴明に襲いかかった。

だがその老婆の顔面を、嵩史の右拳が捕らえた。

強烈な右ストレートをくらった老婆は吹き飛び、そのまま部屋の壁に叩きつけられた。

しかし嵩史が追撃を加えんと足を踏み出すと、老婆の体は塵のように化して、そのままかき消えてしまった。

「先生、何だよアイツは!?」

「この家で死んだ老婆だろう」

晴明は淡々と言った。

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