陰陽(教)師
「それはそうだろうけどなんでまたあんな姿に」

嵩史はそう言いながら、大きく息を吐いた。

「魂が歪んでしまったとしか思えないな」

人が化けてでるのは、この世への執着が原因だと言われている。

家族や恋人など、愛する者への心残りが原因で現れる者もいるが、怨みが原因で現れる者もいる。

俗に言うところの、怨霊というやつだ。

怨霊の場合、その敵意は広い範囲に向けられる。

しかも、あの老婆は孤独と飢えの中で死んだ。

表面上は豊かなこの国で、そのような死に方をすることはどれだけ苦しいか。

その苦しみは想像がつかない。

それ故に老婆は成仏できず、魂は歪み、あのような姿になってしまったのではないか。

晴明はそう解釈した。

「ところで先生、さっきの呪文はなに?」

鈴子が訊いた。

「あれは【ヒフミ】の神歌だ」

晴明はそう答えた。

ー47の清音のみで構成された【ヒフミ】と呼ばれる歌がある。

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