陰陽(教)師
「どうするの先生、あいつらどんどん増えてるよ?」

鈴子の言葉通り、虫怪の群れは次第に巨大になってゆく。

まるで天井全体を覆わんばかりの勢いだ。

「あれだけの数にいっぺんに襲われたら、マジでヤバいぜ」

嵩史が音をたてて奥歯を噛み締めた。

すると晴明は胸の前で、再び印を結んだ。

左人差し指を立て、右手で包み込むようにする。

「貪狼・巨門・禄存・文曲・廉貞・武曲・破軍」

そう唱えると同時に、晴明の体を囲むようにして、七つの法輪が浮かび上がった。

法輪とは、僧侶が儀式で使う道具である。

手に収まるほどの大きさで、車輪のような形をしており、表面には紋様が刻み込まれている。

「先生、それは?」

どこからともなく現れた法輪を見て、鈴子は当然の疑問を口にした。

「俺の式神だ」

晴明は答えた。

「ええっ、これが先生の式神!?」

鈴子は目を丸くした。

「式神って人間の姿じゃないの!?」

「メディアの影響だな」

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