陰陽(教)師
印を結んだまま、晴明は苦笑した。

式神は陰陽師が使役する鬼神である。

神といっても、高級な物ではない。

虫怪と大差ない雑霊である。

昨今の陰陽師ブームで人型の式神が多く描かれるようになったが、元々は決まった姿など、ない。

晴明が短く何かを唱えると、法輪たちが回転をはじめた。

回転ごとにその速度は増し、やがてモーター音のような唸りをあげるほどになった。

「こいつらは俺が作った特別製の式神でな」

晴明の目が鋭く光った。

「戦闘用なんだ」

次の瞬間、七つの法輪全てが一斉に飛び立ち、虫怪の群れに突っ込んだ。

高速回転する法輪たちは、まるで電動ノコギリのように、虫怪を切り裂いてゆく。

もともと法輪はチャクラムという武器が転化したものだ。

式神をその法輪の形にし、戦闘用とした晴明のやり方は的外れではない。

「あ!」

鈴子が叫んだ。

「捕まった!」

見ると法輪のひとつが無数の虫怪に喰いつかれ、動けなくなっていた。

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